A P P R E S S O N o w! No.7 掲載記事
この数ヶ月で、エンタープライズでのクラウドの活用に関するいくつかの重要な発表がありました。既に、技術的詳細がアナウンスされているマイクロソフトのWindows Azureに加え、 その他4大パブリッククラウド関連では、具体的には、2月に発表されたAmazon Web ServicesのAmazon SimpleDBにおけるConsistent Readオプションの追加、4月に発表されたセールスフォースとVMwareの「VMforce」、5月に開催されたGoogle I/Oで発表されたGoogle App Engine for Businessなどです。Windows Azureのアナウンス以来、エンタープライズ向け用途のクラウドと言えばWindows Azure、という印象がありましたが、ここに来て各クラウドプラットフォームともエンタープライズ向けの機能を拡充させてきています。
■ Amazon SimpleDB Consistent Read
いわゆるNoSQLに分類されるAmazon SimpleDBに、Consistent Readオプションが追加されました。読み取りクエリを発行する際にこのオプションを有効にすると、「成功した書き込み処理の内容が必ず反映された状態」でデータを読み取ることができます。従来のRDBMSなどでは「書き込みに成功したのであれば、読み取りの際にはその内容が反映されていること」はごく当たり前のことですが、クラウド系のストレージでは、データの即時一貫性より応答性や分散耐性を重視し、タイミングによっては少し古いデータが読み取られることを許容する場合も少なくありません。応答性より一貫性を重視するオプションが追加されたことで、クラウドネイティブなSimpleDBにエンタープライズでの利用の可能性が広がりました。
■ セールスフォース+ VMware = VMforce
VMforceの登場により、Springフレームワーク上での開発のノウハウがクラウドでそのまま活かせるようになります。Tomcatなどのアプリケーションサーバー上に通常のSprintアプリケーションを構築するのと同じ要領でクラウド上のアプリケーションを構築できるわけです。世界には600万人以上のJava技術者がいると言われていますが、クラウドでこれまでのJavaアプリケーション開発のノウハウやスキルを活用できるようになることは、エンタープライズでのクラウドの利用にとって大きな前進です。
■ Google App Engine for Business
Google I/Oで発表されたGoogle App Engine for Businessは従来のGoogleApp Engineに、エンタープライズ用途向けの各種機能や契約体系が強化されたものです。具体的には、従来から提供されていたBigTableに加え、RDBMSがサポートされる他、99.9%のSLAとサポートサービスが追加されています。
従来はGoogleApp Engineといえば特にウェブ系を中心に、スタートアップの会社が使っている印象がありましたが、これらの拡張により、エンタープライズでの適用範囲が広がりました。
マイクロソフトはAmazon、Google、セールスフォースなどに続いて比較的後発でクラウドに参入したわけですが、このような最近の流れを見るとエンタープライズ・クラウドの分野では、先発組の各社が、逆にWindows Azureを追いかけるような格好になっています。この数ヶ月でエンタープライズ・クラウドを考える上での重要な発表が相次ぎましたが、これらを受けて、年末くらいまでにエンタープライズ・クラウドの事例も次々と出てくるものと思われます。これからますます目が離せなくなってきそうです。
(APPRESSO Now! 2010年6月11日 第7号)
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