小野和俊の「イマドキ」コラム

第3回 アイディアの原点

  

2010-02-19

A P P R E S S O  N o w!   No.3 掲載記事

アプレッソのソフトウェア製品「DataSpider」は、SOA、EAI、ETLなどいろいろな既存の「カテゴリー」で分類されています。 2000年当初、私がこの「DataSpider」の開発を始めたときには私の頭の中には、「自由自在に多種多様なデータやシステムを連携させる」といった、ある意味、漠然としながらも、明確な目的がありました。
その時の私の発想は「EAI」や「ETL」といったカテゴリーやジャンルから起因したものではなく、また、その当時はまだ「SOA」という概念や用語も世の中に出回ってはいませんでした。

ソフトウェア以外でも「モノづくり」全般に共通して言えることかと思いますが、何か「新しいモノ」を生み出そうとするとき、まず「似ている既存の何か」や「カテゴリー」を意識して考えがちになると思います。

まだ世の中に全く存在しない「モノ」について、自分の頭の中に浮かんだ漠然とした「アイディア」以外に例えるものがない状態では、うまく説明がつきません。また、その「アイディア」を聞かされている側からすれば既存の類似製品やジャンルで説明してもらう方が親切で、少なくともその「概念」は理解した気分になりますし、伝わりやすくなります。こうした理由から、私たちは「新しいモノ」に対して、既存のカテゴリーと結びつけて考えがちです。

しかし一方で、こうした比較は、当初何かを作ろうと思うに至った、「アイディアのエネルギー」を減退させる危険性も持ち合わせています。

「こんなモノがあれば!」と、自らの発見に大いに興奮した直後、ふとGoogleでキーワード検索したら、似たようなものが存在することを知って落胆する...とりわけネットでの検索が高度に進歩した現在、こうした光景も珍しいことではありません。しかし、そんなときでも忘れてはならないのは、その発見の瞬間、そのアイディアの原点が何だったのかということです。落胆してそこであきらめてしまうのではなく、「神は細部に宿る」という言葉の示すように、もし似たような製品が存在していても、多くの場合、その細部には、重要な改善の余地が残されています。

特にITの世界には、こうした「改善」のチャンスがゴロゴロ転がっているように思えます。さらにソフトウェアの世界では、その改善余地も無限大だと思います。既存のソフトウェアをちょっと不便だなと思いな がらも工夫してうまく使いこなすことも大切ですが、プログラムという「モノづくり」でも自分のアイディアと情熱を忘れずに、また分類や既存概念に捕われすぎず、ひらめき、着眼点、細部に光る長所を持った ソフトウェアを作っていきたいものです。

(APPRESSO Now! 2010年2月19日 第3号)

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