小野和俊の「イマドキ」コラム

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第1回 日本流・シリコンバレー流「仕事術」を活かす

  

2009-12-09

━+━━━+━━+━+━・━・・━ ━━━━━━━━━━ 2009/12/9 ━━
A P P R E S S O  N o w!   No.1 掲載記事

皆さんこんにちは、アプレッソでCTOを勤めている小野と申します。普段はブログ(*1)や日経ソフトウェアの連載(*2)で文章を書いたり、Twitter(*3) でつぶやいたりしているのですが、今回からアプレッソのメルマガでもコラムを書くことになりました。こちらでは、IT業界、プログラミング、データ連携、クラウドなどに関するテーマを扱っていきたいと思います。
今回は第一回ということで、なぜ日本でアプレッソという会社を始めたのかについて書きたいと思います。

*1http://blog.livedoor.jp/lalha/
*2 日経ソフトウェア連載 「小野和俊のプログラマ独立独歩」
*3http://twitter.com/lalha/

なぜ日本でアプレッソという会社を始めたのか

大学卒業後、日本サン・マイクロシステムズに就職した私は、研修後に米国本社での半年間の開発プロジェクトに参加する機会を得ました。よく、「シリコンバレーは日本より五年進んでいる」と耳にしていた私は、「そんな風に言われるシリコンバレーは、一体どんなところなのだろう」と、目を輝かせてシリコンバレーへと向かいました。

半年間という短い期間のプロジェクトでしたが、その期間に私は、シリコンバレーの優れている点と、逆に日本の方が優れている点とを痛感しました。

本社での私のマネージャーはダグラス・ヒルという人だったのですが、生まれも育ちも仕事もシリコンバレーという生粋のシリコンバレーっ子である彼のマネジメントは、本当に独特でした。プロジェクトの納期が迫っていたある日、まだ解決できていない問題がいくつもあり、日本から来た私たちは、ねじりはちまきでがんばろう、というような話をしていました。

するとダグラスは、「ところでスキー板は持ってきてるかい?」と聞いてきます。翌日、私たちはダグラスのワゴンに乗り、スキーやカジノなどのリゾート地として有名なレイク・タホに向かいました。

「これはオフサイト・ミーティングだ」と言って、彼はそこで私たちに選択を迫りました。「スキーか、スノーボードか、どちらかを選んでほしい」。二日間雪山で過ごした私たちは、「そういえばあの二つの機能は一つの実装で実現できるな」「あの機能はそもそも必要ないのでは?」などと、遊びながら、いくつかのことに気づきました。
彼は、レイク・タホに、多忙で狭くなっていた私たちの視野を広げに行っていたのです。

一方で、ダグラスは、私が日本から持参したティッシュ箱に、とても驚いていました。
一つは、空き箱の脇から手を入れると、折りたためること。もう一つは、箱上部のミシン目が二段階になっていて、指を差し込みやすくなっていること。また、以前米国在住のブロガーの方が書かれていた話で、日本ではスーパーの卵は必ず皆同じ方向を向いているが、米国では向きがまちまちだったり、空きがあったり、割れていたりするのは当たり前だという話もありました。

ダイナミックな発想を生み出すマネジメントや風土という意味ではシリコンバレーから私たちが学ぶことは多くあると思いますが、作り込みの細やかさや、高い品質のための徹底したテストという点では、ティッシュ箱に限らず、やはり日本の方が優れている、と至る所で感じました。

米国で半年間の開発を経験し、私は、ソフトウェア開発の世界で、こうした米国の柔軟さとダイナミクスと、日本の細やかさとを持ち合わせた会社を作れないか、と考えました。また、「原材料を伴わずに製造可能」というソフトウェアの特性を活かし、パッケージベンダーとして、少数のソフトウェアに注力して磨きをかけていきたい、と考えました。

第一回と言うことで少し長くなってしまいましたが、以上のような経緯で始めたのが、アプレッソという会社です。ソフトウェアだけには限りませんが、「日本ならでは」の価値創造を見直すことや、限定された視野に陥りやすい状況での、「緩急自在」のシリコンバレー流マネジメントを取り入れることは「今」の日本に必要な発想であることを創業時を振りかえって改めて感じるこの頃です。

(APPRESSO Now! 2009年12月19日 創刊号)

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